ふんわり放牧

個人の日記です

読書記録

同期である@soramiに北海道旅行では2日付き合ってもらったのだけれど、その際にいろいろと話をした。 北海道移住について憧れていた時期に読んだのか、それとも暮らすことを決めると情報がいろいろと入ってくるのか、いくつか北海道に関連する書籍やコンテンツを教えてもらった。 おすすめされたものは素直に購入してしまう私としては、旅の途中やその後にまとめて読んだので、記録も兼ねてこちらに書いておく。

帯広に行くという話をしたらこちらをおすすめされた。実はきちんと読んでなくてこの機会に一気に読んだ。 農業に従事経験のある作者によるエッセイ漫画。北海道の農業の規模のデカさとか、壮絶さがわかる。 同作者の『銀の匙』は農業高校で都市出身者が暮らすというフィクションの中での壮絶さがあったが、 こちらはエッセイ漫画ということもあり、詳細でかつリアリティがあってよい。 何回読み返しても面白いかもと思った。

こちらもエッセイ漫画。こちらは上とは別の意味で壮絶で、漫画編集者に指令を受けて、漫画家が北海道に送られて、うまいカレーを作るためにまずは素材からということで、家庭菜園で農業をするというもの。 土地の調達から始まり......という感じで、開拓をしている。 現在も連載中のようだが、地元書店でのプッシュやサイン会、またさまざまな団体での講演会など、今では十勝エリアの有名人となっているみたいで、この先も面白そうだな〜と思って読んだ。 帯広の食の有名店や街並みについての情報もあり、旅行前に事前に読んでおけばよかったかもしれない。

ついでにこちらもエッセイ漫画。(確か)道東出身の夫が登場。こちらについてはあまり農業は関係なくて、北海道の文化とか習慣とかを(配偶者の出身地である)関西の文化と比較してという軽い感じのもの。 @soramiと話したときにも、これまで紹介した本に書かれていた話をしていたりしたので(北海道民はいくらがふりかけのようとか)、こうやって文化が言語化されていくのだろうな、という気持ちになった。

上の本を読んでいたら、おすすめに表示されていたので読んだ。 北海道は全く関係なくて、東京から沖縄に移住してきた学生が現地の人たちと交流する物語。沖縄地元民の「あるある」がいろいろと書かれている気がする。 作者は沖縄に3年前くらいに移住した人のようで、移住してここまで情報が載ってるのはすごいなと思う。 旅行中、北海道の夜景の景色の良いホテルの中で、沖縄の漫画を読むのは愉快だなと感じた。

体が動かなくなってしまうという難病の筋ジストロフィーの患者のノンフィクション。舞台が北海道ということもあり、紹介してもらった。大泉洋の主演で映画化もされているもよう。 かなり丁寧に書かれている。 いわゆる「感動ポルノ」とは別の流れであり、ある面から見ると非常にワガママに見える患者と、とりまく周囲の人たち(ボランティア等)の心境に深く入り込んでいる感じがある。 文庫化のタイミングで追加取材などもあり、ボランティアを経た人たちの変化の様子も面白い。大宅壮一ノンフィクション賞を取ったというのも納得。 2000年頃の書籍だが、この頃から福祉の出来事が、病院や家庭の中のことだけでなく、社会の問題としてぬるっと表面化しはじめてきた時期だった気がしている。

自分より少し上の世代の女性たち、東京出身者と地方出身者の生き方に関する小説。 読みはじめのところで、リアリティのためだろうか、東京の上流階級の人たちの記述が情報をつけすぎでは?と胃もたれを起こしてしまい、買ったまま放置していたのだけれど、 @soramiと東京での暮らしや職場、地方での暮らしなどの話をしたときに、「これって『あのこは貴族』の話だよね」と言われたので、本棚から引っ張り出してきた。 読みはじめを抜けると、そこからはとてもよい小説ということで一気に読めた。 導入部分の記述に対する嫌悪感のようなものは、私に東京の上流階級の人々をとりまく文化に対する解像度や共感力の低さがあるためか、 地方出身者が、東京に来て獲得した高級だが上っ面の情報と、生まれてから当然にある情報の差がわからず、どちらも前者に見えてしまっていただけなのかなと思った。 したがって、港区あたりで生まれた東京育ちの人たちからすると、地元の文化をただ記述されて「これってあるあるだよね」と見えるのかもしれない。 読後感はよかったが、自分は文化の差を乗りこなすことの面白さをわかってる側なので、そうじゃない人たちからすると胸くそ悪い終わり方かも。

文化の差はこれからも自分の関心のあるトピックであり続けるけど、実際に体験していないことを一般化してさもわかったように話してしまうことは薄っぺらく感じてしまうなと思ったので、 多くのことを体験して生きていきたいなという結論になった。