ふんわり放牧

個人の日記です

東村アキコ『かくかくしかじか』読んだ

id:reposeさんがブログで紹介していて、 なぜか気になってKindleでまとめ買いをしていた。 すぐには読まず寝る前に読むかなと思ったら、一気に読んでしまった(寝不足)。

作者の東村アキコさんの自伝的な漫画で、地方在住の高校生である主人公が美大を目指すために、 地元のアーティスト(先生)の塾で、スパルタ指導を受けながらも成長したりしなかったりする漫画。

同じ美大受験にまつわる話だと、ブルーピリオドがあるけれど、ブルーピリオドは東京の人たちの物語という感じで、 自分にとってリアリティを感じるのは、この漫画かなという感じ。

美大受験はしていない私にも、お世話になった先生というのはいるのだけれど、暮らしの拠点が変わることで、 昔よりもいろいろなものを知ってしまったり、自分自身のノリが変わってしまうということがあって、 久々に顔をあわせると、「悪くはないけれど、昔ほどの思い入れを持つことはできなくなったな」という、素朴な感想を持ってしまう、そういうことがあった。

そもそも自分にとって「先生とは、絶対的な存在である」と長年思い続けていたところもあって、 こういう呪縛のようなものをついに学生時代には取り払うことはできずに、学校を離れた記憶もある。 一旦学校という場から離れてみると、教員の人間性について疑いを持ったり、完全ではないことにうっかり気づいてしまうということはあって、 それは人間なんだから当然なんだけれど、そのギャップに驚いたりすることもあった。

しかし、自分が幼い頃の師の教えというものは、それはそれであの瞬間は間違っていなかったなという認識もまたあって、 人としての相性は悪くなったかもしれないけれど、教えてもらったことは生き続けているよという気持ち。

自分の中にある師弟愛のようなものや、師の教えを持ち続けるというのは、 過去の恥ずかしい記憶が想起されることもあって、直視しづらいものなのだけれど、 漫画を読んで、確実に自分の中にもあるなということを再確認した。