横浜美術館で佐藤雅彦展を「確認」しに行く。いや「講義を受けに行く」とかそういうのが近い。 この展覧会、人気で事前予約が必要となっている。しかも一週間前の予約でも結構埋まっているという感じ。 もっとも当日券もありますというアナウンスもあったので、平日であればフラっと入ることもできるかもしれない。保証はしないが。
ロシアの地震の影響で東海道線や横須賀線などが運休になってしまい、行きは時間がかかるものの混んでないだろうと思われる東横線で向かった。 美術館の予約が取れたのが昼過ぎであったため、途中、横浜駅で昼食。
煮干し系のラーメン、替え玉が別の味というスタイルは別の店でも体験したことがある。 通常のラーメンに通常の替え玉という感じで注文したが、個人的にはもう少しこってりしてたほうが好みなので「濃厚」とついてた方を選べばよかったかもしれない。
横浜駅から横浜美術館までは徒歩で移動。みなとみらいはこの数年でいろんな建物が建って嬉しい。とても暑いため日傘が助かる。
美術館には30分前くらいに到着したので、入口のところで『計算の庭』で遊ぶキッズたちを眺めたり、『課外授業ようこそ先輩』の編集版*1を観る。これだけでもとが取れた感じがある。 noteにレポートを書いてくださっている方がいて、そこで、『課外授業ようこそ先輩』のことは知れたので、とてもありがたい。
美術館での展示において、こんなことは一生のうちあと数回あるかどうかくらいと思うが、 佐藤雅彦さんについては事前情報を持っている側なので、多くのお客さん(しかも夏休みなのでキッズが多い)とは違う動きをしないと時間がもったいないという感じになってしまった。 すでに体験したことがあるものや自宅に所有しているもの、CMの作品集の放映などは概要だけ把握して、 新しくこの会のために作成されたであろう動画や解説を中心に周遊するという動きであった。 3時間くらい滞在したが、それでも体験できなかったもの*2があり、もう一度行っても楽しめる余白は残しておいた。
たとえば「かわいいもの」であったり「なつかしいもの」をならべておいてしまえば、美術館の展示としてはもっと簡単だし、客としてもシュッと観ることができたのだろうけれど、 佐藤さんはその方法は取らずに、会場全体を使ってご自身の仕事を再度フレーミングしたり、解説が必要なところは追加で説明したりと、ハードなやり方をされているなという印象を受けた。 一つひとつの展示品、それはCMやゲーム、ピタゴラスイッチのワンコーナーでもいいのだけれど、基本的には1つのコンテンツに伝えたいことは一つしかないはずで、 しかもメディアが異なれば伝えたいことは劇的に変わる(CMと教育テレビのワンコーナーは、ベクトルは真逆といってもおかしくなさそう)わけで、 それらを一人の作成者が作ったという共通項だけで、破綻させずにまとめることの凄み。しかもその作り方や関心事には一貫性があるという、メタな情報も持って帰ってもらいたいという欲張り設計。 全体的に教育っぽさはありつつも、厳しいお勉強というよりは、あとで「あれはそういうことだったのか!」と思い出してくれればいいよくらいの温度感も感じられる、なんとも素敵な会場だった。
その流れのままコレクション展に入れるのだけれど、突然ロバート・キャパの写真から始まり、戦争についての展示が出てきたので(横浜美術館は戦争に関する所蔵が多いという印象があったが)やっぱり面食らう。 こちらは企画展にいた人混みが全くいなくなるので、美術鑑賞には最適な空間になっている。 最後に、ダリやセザンヌ、奈良美智のような曰く「名品」(だったかな)を鑑賞して退館できるという満足な仕上がり。
ミュージアムショップでは、大量に図録が売られていて、読んだ側からするとたしかにこれを読まないともったいないよなという感想にはなる。ミュージアムショップの入口には「図録を読んで完成します」という佐藤さんの談が案内されていたが、その通りかな。 ピタゴラスイッチの旗が売られていたので、かわいいので購入。あとユリイカの8月号が佐藤雅彦の特集だったのだけれど、これは知らなかったのでその場で購入。 これは裏の図録というか、佐藤雅彦ファンブックという仕上がりで大変良かった。
すごくひどく雑なことをいうと、ユリイカは評論家や学者の方々が、あるトピックに絡めて自分の思想や思考をあえてムツカシク書いてらっしゃるとしか思えないものがそれなりにあり、気分が乗ってるときでないと辟易してしまう*3ことが多く、 それが文科系の業界のルールであり論の立て方*4であるだろうので尊重したい気持ちもありつつ、そのようなものは気にせず飛ばして読むのが吉というのが、約20年前に初めてユリイカを手に取った自分に教えてあげたいことである。 しかし今回の特集では、基本的にそのようなものは影を潜めていて*5、それは佐藤さんの圧倒的な仕事の物量と説得力と影響力の前には、なかなか成立しにくいスタイルなのだろうかなという印象を持った。 ともあれこちらも買ってよかった。
美術館のカフェでユリイカを読み進めたり、ぼんやりとしながら次の予定に思いを馳せる。
友人の@tobachiくんと食事。最近あった出来事や職の話などをする。 自分の知らない世界はまだまだ広がっていて、その話ができるだけでも嬉しいなぁと思う。
