社名を出して複数回対外発表もしてきたし、「うちの会社いいっすよ」と社外に話していたこともあるので、「何があったの?」という話になるだろうと思い、退職エントリとしてまとめておく。読みたければどうぞ系のものなので、わかりやすさは考慮せず。またそこまで推敲するつもりはないので、明日には別のことを言ってるかもしれん。たまたまこの記事に遭遇して「うまくいかなかったことをダラダラ書いてるだけじゃないか」みたいなコメントを書きたくなった君は、それは仰るとおりと認めるしその指摘に情報量はほぼないから、その文字数を使って自分の体験をblogにまとめてくれ。私はあなたの人生が知りたいんよ。
STORES(入社当時はhey)には、2022年7月から決済サービスのバックエンドエンジニアとして入社し、3年と1ヶ月お世話になった。退職日は今月末で、本日が最終出社日であった。
退職理由を一言でいうと「もろもろタイミングが悪かった」ということになろうと思う。プライベートもそうだし、仕事的にもそう。 プライベートでは親を看取るということがあったし、仕事では監査仕事をやりきった直後にチームを抜けて、別のチームに異動になったと思ったら、親のことがあってこれまでのチームに戻ったりと、家族の一大事に対して最大限の配慮をして頂いたが、個人としてはかなり落ち着かない状況で「仕事をうまくやる」ことはできなかった感覚がずっと続いていた。けりをつけることができないまま進んでしまっていたということかもしれない。 一方で会社組織としては大きなリリースを春に実施して、それに向けてみなさんが大変な苦労をされたという事実がある。家庭の事情から私はそのビッグイベントにしっかり関与できなかった。帰ってきたときにみなさんはその経験を持って、環境の変化に順応できているように見えた。 自分は低空飛行のまま周囲の環境はどんどん変わってきていて、自分自身に火がついていない状態がなんだかんだで半年近く続いていた。それがもうなんだか疲れてしまった。火がついていないのに疲れるとはどういうことかとなりそうだが、そういうことはあるんだなと思う。なにか一つでも違えば、こういう決断はなかっただろうなと思っている。退職イベント以前にストレスが溜まっている中で、同じ年に別のイベントを自ら引き起こすなんて馬鹿じゃないかなと思う。でも衝動を止めることはできなかったんだな。 なにか中長期進行中のプロジェクトを抜けて、という感じではなく辞めれるのはよかった。きりが良いといえばいい。この半年、まともに仕事をしていないと思われても、それは否定できないかもしれない。自分ひとりがお祭りに参加できなかったという感覚はこの半年ずっとある。
明確にメンタル不調ではない*1ので休職という選択肢もなく、休職したところで結局転職活動をすることになるだろうと思ったし、休職復帰後に退職するというのは、自分の中では結構やりたくないことなんだなと思った*2。今回の私のケースに関しては、いろんな人に嘘をついてしまいそうな状況になりかねず、自分の美徳としてそれに耐えられなかったのだろう。私は嘘を付くゲーム*3が好きじゃないんですよ。
現職を辞めたいネガティブな理由も、居続けたいポジティブな理由もそれぞれ同じくらいある気がするんだけれど、次に行きたい理由みたいなのができてしまったというのが、ポジティブな退職理由だろうと思う。低空飛行の中で、別の会社の話を聞いてワクワクしてしまった時点で、もう居続ける理由はないなと思ったのだった。今後のことを考えたときに、今までの延長線上で仕事を続けることに、ありたい姿とのズレを感じ始めていた。違う表現をするなら別のカードを手に入れたいという欲求がある。10年前に友人だった人が大前研一の人生を変える話をよくしていたけれど*4、それに近い選択だろうと思う。そういう後付けでも言えそうな理由がいくつか思いつき始めたら、次のことをやるタイミングのような気がしている。
(育児)休業後の定着率という指標を出している会社がいくつかあるのだけれど、私は定着しなかった側なんだろうな。育児でもなければ休職でもないので、まさしく同じものではないにしても、復帰がうまくできなかったんだろう。特別なにか大きい問題があるわけでもないのに復帰できなかったのは、なぜなんだろうなというモヤモヤがずっとある。きちんと見送る時間はあった。でもそれだけでは不十分だったのかもしれない。
辞めることについておおむねポジティブではある。だが、どうも居心地の悪さというか、負け試合のような感覚もあって、撤退という言葉が脳裏をよぎる。自分で火をつけることができたのではないだろうか、上昇気流を掴むチャンスはあったのではないだろうか、という想い。ギアを切り替えれば、今回のお祭りに間に合わなくても、次には参加できたのではないかという感覚。 正直なことを言うと、約3期分の仕事としては求められている目標から大遅延はなかったし、大崩壊はさせなかったぞという達成感はある。でもうまくいかなくてアラートを上げたタイミングはあるし、もっとうまくできただろうこともある。なにより自分の仕事が顧客の満足につながったかというと、結構怪しい感じがある。自分の取り組みと事業への貢献とのギャップを、仕事の中で昇華できなかったことが、会社に対する信頼感の低下につながってしまった気がする。会社という人は存在しない?じゃあ経営メンバー*5でいいや。それは経営メンバーへの信頼感の低下です。
ここまで書いてて、他のメンバーに対する感謝が抜けていた。皆さんには非常に感謝しており、また仕事の一つ一つ見習うべきところがしっかりあった。同じチームで一緒に働いてくれた人たちの良いところは一人ひとり挙げることができる。もしリファレンスチェックなどの必要があったら、声をかけてもらって構わないくらいには。 チームの皆さんのお陰で、バックエンドエンジニアとして一通りの流れを身に着けさせてもらったというか、毎年できるようになることが増えていった感じはある。新卒みたいなこと言ってるな、実際は4年目の駆け出しエンジニアですからね。*6 別のチームの人たちに対するやり取りも、最初は戸惑いがあったが*7いろいろ助けられたという感じ。 分報チャンネル等で雑に話しかけてくれた人たちへの感謝もある。そういう人たちが普通にいること、会社としての良さだろうと思うし、そうした空気感が社内にあること自体に、今でも経営メンバーへの信頼を感じている。
しかし思うのは、プラットフォームを作ることの難しさである。*8 前職でもプラットフォームを作るといいつつ、全くうまくいかなかったことを何度も見たし*9、 社内でもプラットフォームを作るとみんなで話し合ったときがあったが、私はその瞬間その意味が全くわかってなかったということが今回のことでよくわかった。口で言うのは簡単そうだが、実際には、山程考えなくてはいけないことを効果的に処理する頭と、解決策を実現する腕と、過去からの問題も含めてその間にできた泥臭い仕事に向き合う健全な態度。私にはどれも足りてなかった。それに向き合う覚悟も、想像力も、経験も、自分にはまだ蓄えられていなかったことがよーくわかった。 もっともこれは一つの会社の中でまとめ上げているのであれば、まだ簡単だったのかもしれない。現職は複数の会社と事業がまとまってできたところだから、それなりの難しさがあるらしい。私はそれをしっかり判断するほどの経験もないので、次のところで経験がつめたらいいなと思う。
他社の人と話すと「SaaS開発の経験がおありなんですね」と言われるが、金融というか決済業界という歴史ある仕組みを、Webの会社が提供するとどうなるか、ということしかできてなくて、これはSaaSなのか?という疑問が残る。いや、提供しただけでもすごいんだが。様々な仕組みが、信頼の上に成り立つ手数料ビジネスのビジネスモデルに縛られているように見えていた。緩衝材的な役割しかできていなかったのではないかというか、ビジネスモデルの差や歴史を乗り越えて、未来を見据えたプロダクトのアーキテクチャに転化できなかったことは心残りなのだと思う。
最後に、これから入る人たちに向けた話があって、まず「ゴメンな、俺の書いたコードが原因でめんどくさいことになって」という謝罪の気持ちがある。いや、まだ何が起きたというわけでもなく先手を取って謝ってるだけなんだけれど。 意外とみんな退職エントリで書かないんだけれど、自分が書いたコードは数年は生き続けるだろうし、エンドポイントや設計、DBのスキーマなんかはさらに生き続けるだろうと思っている。面倒なことになったときにもう謝罪の機会はないんだよなということで、一旦ここで謝っておく。git blameして、書いた本人に雑談半分に「これどういうことなんですか」と聞くことはよくあった。でも、退職者たちには当然それができなかったわけで、いざ自分がその立場になってみると、妥当な開発ができていなかったことや、それを説明する十分な情報を残せていなかったことに申し訳なさが残る。
次は無職です。健康保険を国保にするか任意継続にするか聞きに行かなくちゃ。
追記: 一旦無職ではありますが、次の就労場所も決まっています(無職経験をやってみたかった)!引き続き業界の皆様よろしくお願いします!
おまけ
以下、文章中のどこにもおけなかった文です。
- Webの業界はもっと迂闊に辞める人がいると思っていたので、意外とみんな辞めないんだなと思った。
- みんなが言う「いい人が多い」というのはそれはいいことなんだが、それでもそう言って辞めていった人たちがいるということはどういうことなんだろうとも思っている。
おまけ2
前回の退職エントリはこちら
おまけ3
今回の退職に対応する転職活動はこちら
*1:というか、その手の問題は発生していない
*2:そのようにして退職された方は何人か思い浮かびますが、責めているわけではないことに注意。あなたにはあなたの事情はあることは理解しているつもり
*3:Among Usとか
*6:なんか今のところ居続けると、甘えてそういうことずっと言い続けそうだなと思ったので辞めたというのもあるな。もう次からは言わねぇ
*7:他部署には上司を通してやり取りする必要があったり、メールやMicrosoftのグループウェアを使ってやり取りをするというお作法を教えられた身としては、仕事としてSlackをうまく使うことがやっぱり下手だったと思う
*8:先に書いた春の大きなリリースというのは、プラットフォームを作っていくプロセスの一つであった
*9:これはR&Dや大企業がお金と取るための方便であると考えている人がそれなりにいそうだから、別にどうでもいい