ふんわり放牧

個人の日記です

YAPC::Kyoto 2023 にボランティアスタッフとして参加しました

2023年3月19日に京都リサーチパークにて開催された「YAPC::Kyoto 2023」にボランティアスタッフとして参加しました。

blog.yapcjapan.org

事前に1時間未満のオンライン打ち合わせと、Slackでのコミュニケーションを除けば当日は行くだけなのでとても気楽でした。 当日の業務は、搬入・撤収時の準備と、発表会場の一つであった土俵(G会議室)における参加者の誘導・質疑応答用のマイク運搬・除菌などを実施していました。とてもシンプルに言えば人手が足りないところのお手伝いをする要員。

私は、普段のお仕事では比較的いろいろと頭で考えて仕事をする必要があるのですが、 こちらのボランティアではとにかく考えることは一旦おいて、とにかく「ワーカー」として動くというようなもの。 必要そうなレベルで役割分担が組まれていて、コアスタッフとはいい感じに情報が分離されているので、本当に動きやすくてやることに集中ができました。

「技術者としてのプライドはないのか」と言われると、確かに「スピーカーとしてのほうが、技術的な価値はあるでしょう」と思うものの、 残念なことに情報技術は、カンファレンスに参加する皆さまが、全くの困りごとなく最初から最後まで過ごすためのツールとしてはまだまだ不十分であって、 事故なくカンファレンスを成功させるには、人の手が必要ということが今回参加してとてもよくわかった。 誰かがやらなければならないのであれば、雰囲気がわかっているコミュニティに近い人や技術に明るい人がいてもいいと思うし、 普段の仕事とは役割を変えてやっていくほうが面白いのではないでしょうかね?と思うようになりました。

また、私はカンファレンスについて一般参加であれば「せっかくチケットを買ったけれど、めんどくさいから昼から参加するか」とか「今日は疲れたから明日は行かない」なんてことをやりがちで*1、 これはやはりもったいない態度ではあると思うのですよね。でもやってしまいがち。(9時台に会場に到着とか朝が早くて無理では???)

ボランティアとして参加すれば、開催日前日に破滅でもしない限りはこのようなことにはならないでしょうし、破滅しないように慎重になることもあるでしょうから、よさそうではあります。 他のスタッフとのつながりがあるから、めちゃくちゃなことはできないなと思いますし、いい感じのテンションが保てて良い。

それでは「数ヶ月前からコアスタッフとして参加すればよいのでは?」と言われるとそれもそうだなと思いつつ、 自分自身の責任感のなさや本業の忙しさ、カンファレンス・コミュニティ自体への熱量などを考えると*2、 開催日に参加するボランティアがちょうどよい。自分自身に自信がない人間が参加するやり方としてはコスパがよいというか。 たったこれだけの働きで、ここまで感謝されることはなかなかないなという気持ちにもなりますから、ボランティアスタッフの立場は良いものだなと思いました。

一般参加をすると「誰とも話せないまま帰ってしまった」なんてこともあるんですが、スタッフだとそんなことはまず起こりません。 残念なことに一般参加をしていた昔からの知人たちとはあまり話せなかったのですが、その分初めましてのスタッフともコミュニケーションがとれて良かった。

閉会のときにpapixさんが参加者の皆さんに対して「みなさんがこちら側に来るんだよ」というようなことを仰っていましたが、 おめでとう!ここまで興味を持って読んでくださったあなたは、その素質がかなりあると思います。本当にそこは簡単に飛び越えられるんですよ!

私はちょうど一年前、自分が参加していないオンラインカンファレンスについてのエントリーを読みました。

techblog.karupas.org

このエントリーの最後では協力が求められていて、たまたまフォロワーであったので「エントリー良かったです、手伝えることあったらぜひ」と@karupaneruraに連絡をしました。 その時はまだ具体的に話が進んでいなかったからか、感謝のメッセージを頂いただけでしたが、 ボランティアスタッフの募集開始と同時にDMがきて、ボランティア参加への打診があり、今に至るという状況です。 結局、自分も誰かから熱量を持って誘われたから参加できただけで、自分自身はそれほど頑張っていない。 コミュニティや他のスタッフに対して感じていた「良さみ」があったからこそ、ポジティブな気持ちでフォームから応募することができた。

papixさんの閉会の呼びかけは、こんな一人のボランティアの参加記録を読んでくれるような、あなたに対して真っ先に届いてほしいのだと思います。


蛇足ですが、以前参加した時との意識の違いについて書きます。 採択されるためにしっかりと準備された発表者の方には失礼だなと思いつつも「自分も発表できそうだな」という気持ちにもなりました。 これは発表者の方々をナメているわけではなくて、発表を聞くうちに、私が技術者として活動して得られた体験や興味について、発表をしてみるともしかしたら面白がってもらえるのではないか?という感情が沸き起こった。 言ってしまえばそれだけ会場の雰囲気がよかった、発表内容がわかりやすかったということでもあるのでしょうし、 昨年の転職からソフトウェアエンジニアとして活動するようになって、何がこの発表の価値なのか、なにが問題になっているかということが、一段階高いレベルでわかるようになった*3ということなのかなと。 そういう気づきを得て、数年前は気持ち的には非常に遠いところにいた気がするPerl Mongerの皆さんが近づけたように感じ、お互いの間にあるように見えていた壁が少し溶けた気がしていたのでした。

以前は発表していたけれど、今回は一般参加者として参加しています、というように時期によって役割が変わっている参加者がいることもITエンジニアのカンファレンスの良さだなと思います。役割を固定化せずに流動的になっている。 一般論ですが、長年同じポジションやっていると権威がついたりしますからね。もしかしたら来年はボランティアスタッフの誰かが発表者になっている、なんてこともあるかもしれません。

*1:これは経験があります

*2:水を指すようなことを書きますが、残念ながらPerlという言語に対しての気持ちはそこまで高いわけではないのです。「Perlコミュニティのお陰で今がある」という感謝の気持ちは十分あるのですが......。

*3:例えば、端的に言えば「前職には仕事の構造上、廃墟と呼ばれるソフトウェアは存在しない」とかそういう視点の違いがあった